木材について
木材は日本に住居が存在した時から使われてきた自然素材です。元々、日本の国は約3分の2を山に囲まれた森林大国なので、周囲を木に囲まれて暮らしてきた人間が自分たちの住居に木材を用いたことはごく自然なことですよね。
木の特性を熟知し、建築の材料として使うときに狂人と耐久性のある「ヒノキ」は柱に、曲げに強い「松」は梁に、加工のしやすい「杉」は造作材に使用するなど、木の持つ特性を生かして適材適所に使い分けることで長く住み続けられる家を造り上げました。ここでは古くから日本家屋の材料として欠かせない「木材」について見てみましょう。
木材の文化
木材の文化は発展し続け神社仏閣などに見られる柱や梁のおさまり、繊細な造作の意匠などは芸術品といわれるまでに完成されたのです。古くは縄文時代に造られた竪穴式住居の柱や茅葺き屋根の土台にクリの木が使われていたことが確認されています。このような木造建築の発展には、日本が高温多湿な風土において木材の持つ調湿性や断熱性が快適に暮らすために欠かせない材料だからと言えるでしょう。
木の特性
木は細胞が集まってできた多孔物質で、水分や空気を蓄える空間を備えています。それにより木材でできた家の室内は湿度が保たれ、空気を含むことで外気温の影響を受けにくくなります。
また木に含まれるアルファーピネンなどの揮発成分に精神沈静作用があることが確認されています。さらに木材が再生産できる資源であり伐採と植林のバランスを保つ限り循環可能な環境に優しい資源なのです。
丸太を四角い角材や板材にすると、どの方向で挽いたかによって木目の見え方が異なります。木の年輪に対して直角に近い角度で挽くと木材の表面には縦縞の模様が現れます。これを柾目と呼びます。一方、年輪の接線に沿って挽いたものは板目と言われ、表面にはタケノコのような模様が現れるのが特徴です。
和風の家に使われる木材
- 檜(ヒノキ)
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檜(ヒノキ)は、真っ直ぐ通った樹形と緻密な肌目そして独特な芳香と光沢を持つ針葉樹です。弾力性・耐朽性・加工性に優れており建築材としての性能が高いので古くから神社仏閣の建築材として使われています。
- 松(マツ)
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松(マツ)は、やや黄味を帯びた粗い肌目が特徴の針葉樹です。なかでもアカマツやクロマツは強度が高く加工性も良い建築材として優れているので曲げに強く、古くから梁として使用されています。
- 杉(スギ)
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杉(スギ)は、長い歴史の中で最も使われ、植林されてきた樹木です。脂気が少ないうえ軽く柔らかいので加工しやすいのが特徴。建築材の他、工芸品としても広く利用されている木材です。
- 欅(ケヤキ)
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欅(ケヤキ)は耐湿性・耐朽性に優れているうえ、成長が早く大木が摂れるため古くから柱や梁として使われてきました。木目は力強く木肌には光沢があるため家具としても利用されている木材です。
- 栗(クリ)
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栗(クリ)は建材としても優れた性能を持っており、縄文時代から柱に使われていました。割れや反りも起きやすいが、水や虫に強く腐りにくいので一般に土台として使われることが多い木材です。
- 檜葉(ヒバ)
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檜葉(ヒバ)はヒノキに似た針葉樹で、樹脂に殺菌性の強い製油分を含んでおり白アリやダニに対して強い効果を発揮します。また耐朽性が高く水湿性にも優れているので土台や水回りの素材として使われることが多い。
- 楢(ナラ)
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楢(ナラ)はクヌギと共に雑木林を構成する樹種です。重厚でやや加工しにくいが家具剤や床材などに多く利用され特に欧米では「オーク」と呼ばれ重宝されています。木目が美しく固さもあるので構造材としても利用されます。
- 椹(サワラ)
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椹(サワラ)はヒノキに似た木材で、耐湿性に優れた樹木です。木目が真っ直ぐなので美しい柾目材が摂れるのが特徴。主に柱として使われますがヒノキより軽軟で加工に向いているため、障子や襖の組子の材料として使われます。
無垢材と集成材
無垢材の魅力は自然のままの風合いが楽しめることです。木肌や木目などは同じものが存在しないため自然感が味わえます。しかし無垢であるがゆえに扱いにくいのも事実です。木は呼吸をするので家の一部となってからも乾燥や収縮を続け割れや変形が起ります。そのため経年変化に対する正しい知識を持つことが大切です。
一方の集成材とは丸太を小さく挽き繊維方向を平行にして接着したものです。小さな剤を乾燥させて合体させているので安定した品質を保ちます。また曲線や大きな板を作ることも可能なので大型建築には欠かせない資材です。また間伐材や小径木などの大きな剤が摂れない木からも作り出せるので環境にも優しい素材です。