竹材

竹材

竹は古くから日本人の生活に深く関わってきた自然素材で、割りやすく細く削っても強靭でしなやかに加工できるのが「竹材」です。古くは家の周りの竹垣以外にも茶室や数奇屋風の和室でも使用されますが、近年は竹の持つ効果を利用した様々な製品が誕生しています。ここでは竹と日本建築の関係について見てみましょう。

竹の文化

日本人の身近にあった竹は、日本の風土に生活する人々に馴染まれて活用されてきました。竹の持つ丈夫で通直という優れた性質は昔から素朴な建築素材として広く使われ、板に代わるものとして丸竹を編んで床を張り、その上に後ろを敷いた竹床が土座や板敷き床と共にもちいられていました。

なかでも京の町家では、平屋の石置き板葺き屋根に竹が井桁に組まれ、石が据えられた様子や、粗く削った竹を並べた連子窓や竹を張った腰壁・竹の簾がかけられた町家も見ることができます。一方、平安時代以来、竹を好んで用いた貴族の間では竹を賞用し文人生活の象徴という風潮を作りました。

竹垣

竹垣

和の日本家屋では、庭も家の内側と考え室内と庭とはきわめて開放的に繋がっています。例えるなら竹垣の内が家であると意識され、縁側や軒下など内と外との境を曖昧にした空間が好んで設けられているのです。

いわば日本の内外を画するのは、竹や木など自然素材を使った垣や堀であるといえます。竹垣など自然を利用した眼隠しは住む人だけでなく訪れる人にも安らぎを与えることができます。


なかでも最もよく使われる竹垣の主流が建仁寺垣です。この竹垣は現在の一般和風住宅でも庭の目隠しとして広く利用され、古くは鎌倉時代の建仁寺の創建当時にあったと言われています。この他にも竹を利用した有名な竹垣には、四つ目垣・竹穂垣・簾垣・鉄砲垣・金閣寺垣・大津垣・矢来垣・松明垣・高麗垣などがあります。

建築素材の竹

竹は通直で空洞部を有するために軽く、節を持つために折れにくく極めて堅固で耐久力を有し、強い生命力で早期生育しながら身近に群生するために安価な素材として建築用材の条件を備えています。なかでも日本に育成している竹の種類はおよそ数百種類といわれ、煤竹・ゴマタケ・人口角竹などの加工竹が挙げられます。

竹の中でも素材として最も活用されるマダケ・ハンチク・モウソウチク・メダケ・メダケ・ヤダケなどの用途は、垂木・竿緑・力竹・戸当たり・棚吊竹・壁下地小舞・壁留・敷居溝・埋木・竹垣・観賞・目板・連子・床柱・落掛に使われます。

竹の効果

竹は成長が早く強靭な植物で古来より日本建築の材料として重宝されてきました。竹は自然界に豊富に生育し、地球環境に優しいだけでなく竹には抗菌性能があり、なかでもモウソウチクには「抗菌・抗酸化・消臭」という3大効果があることから竹の素材を利用した建築材料が近年注目を浴びています。

また現在多く使用される竹のフローリングは床暖房用に開発され、熱による歪みにも強く竹の持つ抗菌性・悪臭吸着効果・特に遠赤外線効果による身体の血液の活性促進化の作用で健康に良いと言われています。

竹材を使用した加工品

竹は古くから自身の持つ性質を活かして日用品や工芸品・建築材料などに多く用いられ、最も身近な工業材料の一つでした。例えば破裂しやすい性質を利用したものには、籠・うちわ・扇子の骨・茶筅・簾など、しなやかで曲げても折れにくいことを利用したものには、弓・籠・ざる・竹刀・釣り竿など、たわみにくい性質を利用したものには、梯子・物干し竿・竹箸・串・垂木・杖などに加工されています。

その他にも、笛・筆・定規・額縁・お盆・紙パルプ・フローリング材・竹繊維を素材にした服・伝統工芸・竹千筋細工・スタンド・ペンダントなどの照明器具・竹バット・竹スキー・コームチェアを含むインテリアなど竹はその特性を活かして様々な加工品に利用されているのが分かりますね。

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